さとえブログ

ノンフィクション/エモい/現代っ子哲学

クラブで持ち帰ったけどヤらなかった話

さとえ(@satooooo_e)です。

 

p.m.23:00

その日は、大学の友達と渋谷の某クラブに行った。エントランスでの黒人によるかなり厳重な持ち物検査を終え、入場料を払い、ドアを開ける......。鼻炎薬が引っかかって没収されたのは置いておく。

 

1Fのフロアでは訳分からんメロウ系のゆる〜い感じの音楽がかかっており、クラブの従業員にめっちゃ絡まれて「次来た時安くしてあげるよ!」的なことを何度も言われる。クラブの中は声が通りづらいので、何度も何度も言われる。一緒に行った友達は無関心な反応が苦手なタイプだったので俺だけ無言で状況を見守る。フロアに響くジョナスブルーを脳で感じる......。

上のフロアが開くのは23:30からだとのことだったので、適当にスマホをいじって待った。

 

p.m.23:30

上のフロアに通じるエレベーターが解放され、すぐさま5Fに行く。ここはメインのフロアで結構定番のクラブミュージックが流れている。けれど、まだ日をまたいでいないので人はまばらであった。一般的に人口のピークは午前1時と言われている。適当に軽い酒を飲みながら音楽を聴き、ロクに通らない声で駄弁って人が来るのを待つ。

 

a.m.0:00

5Fにずっといてもつまらないので、4Fに降りる。このフロアは落ち着いた感じで、ダンスフロアとは別に座れたり休憩できたりするスペースが設けられている。なんか突然猛烈に酔いたくなってきた俺は、バーカウンターへと行く。

「すいません、一番酔うお酒ください」

出てきた酒は匂いからしてヤバかった。アルコール分50%は優に超えていた気がする。しかし、飲んでみると味は全然きつくない。これはイケる。

半分飲んだ頃には酒の強い俺でも頭の中がふわふわ状態になっていた。

 

a.m.1:00

正直この時間まで何をしていたか覚えていないが、飲んでから1時間経って若干酔いは覚めつつあった。多分MAXに酔っている間はすれ違う人々にダル絡みをしていた。訳分からん清楚系とかリーマンと乾杯しまくったのだけは覚えている。友人は素面でも酔ったテンションに合わせられる人だったから助かった。

この時間になると、人がかなり増えてきてタバコを吸うスペースや座るスペースすらも全て埋まる。特に5FのメインフロアのDJブースの前付近は渋谷のハロウィン並みに身動きが取れないので、とりあえずまた4Fに来た。

階段を降りると、フロアの片隅でぼっちで立っている子(以下ぼっち子)を発見した。遠目から見て普通に可愛いなあと思ったので「ちょっと行って来るわ」と友人に告げ、話しかけに行く。

 

 俺「一人で来たの?」

 

ぼっち子「二人で来たんだけど友達どっか行っちゃって......」

 

近くで見ると身長低めで黒髪、化粧は濃いが可食範囲内だった。これはいくしかない。

 

俺「そうなん?てかなんかめっちゃいい匂いしない?」

 

ぼ「えー、そうかな?」

 

俺「少し匂いかがせて」

 

ぼ「ちょっとくすぐったいってw」

 

この頃人の香水を当てるのにハマっていた俺は、適当に理由をつけて和むことに成功した。その後も適当な会話をしていると、向こうの食いつきがかなり上がってきたのが分かった。手が綺麗だとか涙袋が羨ましいとかそんなん言われたことねーよとか思いながらも、勝利を確信していた。

 

俺「もう少し静かなところで話したいからここ出ようぜ」

 

ぼ「うん」

 

こうしてぼっち子をクラブの外に連れ出すことに成功した。友人には行って来る旨をLINEで連絡し、きちんと承諾をとる。友人>女の信念は忘れてはいけない。

 

エレベーターで1Fまで降り、外に出る。中と打って変わって深夜の渋谷は静かであった。適当に手を繋いでホテルまで連れて行く。道中、「どこ行くのー?」とか白々しいことを言うぼっち子に少し萎える。

ホテルに入ると、全室埋まっていて入れないと思ったが、高いところには行きたくないのでフロントのおばちゃんに交渉して「空調があまり効かない部屋だけどいい?」的なことを聞かれ、承諾する。

 

a.m.2:00

部屋に入ると、思ったよりも空調が効いていて僥倖。しかし、部屋に入った瞬間、俺はあることに驚いた。

そう、ぼっち子が可食範囲を優に外れていることに気づいたのである。明かりに照らされたぼっち子はかなりぽっちゃり子だった。え、嘘だろ、いくらクラブ補正とは言え、マジで補正かかりすぎてただろ。その道のプロかよ......。もうダメだ。俺は、一気に萎えた。だけど、折角ここまで連れ込んだんだからまあ何かしないといけないよな......。

 

とりあえず、二人でソファーに座って適当なチャンネルを回す。訳分からんお笑いの番組がやっていてぽっちゃり子がツボってて笑いの趣味も合わないと知り、更に萎える。もう早く友人と会いたい。

とりあえず、作業感溢れるリードで適当にベッドへと誘導する。正直、向こうにも伝わっていたと思う。俺はその頃熱が頻繁に出ていたことを言い訳にして、いきなり体調が悪くなって来たとぽっちゃり子に告げる。ぽっちゃり子が背中撫でたりしてくれる。非常に申し訳ない......。

 

しばらくうずくまっていると、ぽっちゃり子が寝始めたのを察する。前日は仕事があって疲れていたとか言っていたし、ガチで寝てるんだろうなあとか思う。ラッキーである。俺は、この隙に部屋を出ようと試みた。金が全額こちら持ちになるがそこは仕方がない。とにかく早く出たかった。クラブ内でLINEも交換してしまっていたので無賃で逃げたらマズいことになりそうだった。

財布から5千円を取り出し、テーブルの上に置いて荷物をまとめると俺はひっそり部屋を出た。音を立てないようにドアを閉じた瞬間急いでエレベーターに行き、下まで降りる。フロントのおばちゃんには至って冷静に「あの子まだ部屋にいたいらしいんで僕だけ出ますね〜」と告げる。同時に、友人にマジで無理なやつだった、とLINEを入れる。

 

a.m.3:30

しばらく待っていると、友人もクラブにはあまりいい子がいなかったとのことで、外に出て来た。隣には何故か知らない男がいた。中で仲良くなったらしい。どんだけコミュ力あんだよ。そいつと俺もある程度話して仲良くなり、三人で道玄坂幸楽苑に行く。

 

三人ともつけ麺を頼み、くだらない世間話をしながら食べる。正直、こういう時間が一番楽しいと改めて実感する。さっきのは何だったんだ。記憶から忘れよう。

始発の電車が出るまでここで駄弁ることになった。

 

a.m.4:30

そろそろ始発が動き始めるということで、店を出る。金は何故か仲良くなった男が全額払ってくれた。ネットビジネスで月40万稼いでいるらしい。すご。

空はもう明るくなっていた。冬の冷たい風が頬にささる。それぞれ路線が違うので、改札前で三人は別れた。

山手線の始発は夜遊び帰りの連中で溢れていた。急に劣等感が襲って来る。幸楽苑のつけ麺とともに記憶から消したはずなのに。

そういえば、ぽっちゃり子は寝ていたが俺は一切寝ていないことに気づいた。帰りの電車ではちゃんと寝よう。

 

 

しかし、寝る前にあることを思い出した。

 

あれ、もっと可愛い子いたよね?