さとえブログ

ノンフィクション/エモい/現代っ子哲学

追っても掴めないもの

二年前の夏、渋谷でとある女の子に出逢ってしまった。

 

satoechan.hatenablog.com

 

端的にいうと、もの凄くタイプな女の子を渋谷でナンパしてそのままカラオケに行ってLINEを交換し、後日デートに誘ったものの返信が来なかったという話。

 

この話には続きがあった。

 

結局、返信は返ってきた。一週間後にまた2人で渋谷で会う約束をした。向こうもどうやら俺に気があったらしく予定通りに来てくれた。

 

渋谷でご飯を食べ、新宿に移動して酒を買い込んでラブホに入ってセックスをした。問題なのはその後だった。俺は滅多に泥酔しない筈なのだが、何故かめちゃくちゃに泥酔していたようで、目が覚めると室内の壁に寄りかかっていた。向こうはベッドに寝転んでインスタか何かをいじっている。

 

段々と記憶が蘇ってくる。。

 

確かセックスの最中に俺は向こうの首を締めて九九を言わせたり、事後にめっちゃ好きと言いまくったり、いきなり泣き出したりしていたように思う。

 

今思えば、最悪な男だった。当時まだ大学生だったため、許してほしい。

 

向こうが俺が目を覚ましたのを認めると、俺たちはラブホから出た。図らずも午前4時だった。

 

歌舞伎町を突っ切って駅まで歩いていく途中。気まずくなって俺は全然喋れなかった。

 

『ねえ、全然喋らないじゃん笑』

「いやー、うん。また遊ぼうね」

『そうだね、機会があればね』

 

帰った後も申し訳程度にLINEは続いていた。

 

さらに一週間後、俺は渋谷でカラオケオールをしていた。その時は高校の友達2人と渋谷の肉横丁でナンパしたギャル達と遊んでいた。

 

カラオケに行っても俺は気まずくなった子のことを思い出していた。ギャル2人は可愛かったが、それよりも俺には会いたい人がいた。

 

我慢できずに、カラオケを出て電話をかける。

 

『・・・どうしたの?』

「いや、声聞きたくなってかけた」

『なにそれ笑』

「今渋谷にいたりする?」

『渋谷のガールズバーでバイト中だよ』

「終わったら会えない?」

『少しならいいよ』

 

数時間後、道玄坂のドンキ前で落ち合った。またしても午前4時。

 

俺は出来る限り気まずさを払拭するように、明るく彼女と話した。彼女も明るく応えてくれた。

 

でもなんとなく、この時間がこれ限りで終わる予感がしていた。

それは多分、2人とも気づいていた。

 

彼女を駅まで見送ることになった。道中、ネズミの死骸が落ちていてびっくりしていた事が印象に残っている。

 

その日別れてから、俺はLINEをした。

 

返信は一切返って来なかった。確認したら、ブロックされていた。

 

 

 

 

 

 

その日から、俺は狂ったように女遊びに目覚めた。

 

彼女より可愛い女を抱いて見返したいプライド、傷を他のもので埋めたい承認欲、そしていつかは彼女に再会できるのではないかという期待。。さまざまな感情が原動力となっていた。

 

今まで、何人の女を抱いたか分からない。ストリートナンパやクラブ、tinder。勿論、彼女より可愛い女の子も抱いた。彼女より性格の良い子も沢山いた。

 

いや、性格の良い子がいたかは正確には分からない。数をこなすために俺が無意識で女の子を欺いていただけかもしれない。性格が合うだとか合わないだとか、本当は誰にも分かるはずがない。俺は多分、八方美人的に性格を合わせていただけだし、女を抱くためにそうしやすいキャラを意図的に作っていってただけだった。

 

口説くために、あの日の話を女の子に話すことも毎回のようにしていた。女の子は浅くてエモい話が好きだから、わざと薄っぺらく話す。それとは裏腹に、俺の脳内には回数を重ねるごとに彼女との思い出がアンカリングされていくのだった。

 

あの日から約2年が経とうとしている。色々な経験をした。いわゆるエモい経験も何回もした。

 

その経験を重ねる中で、俺は段々と自分の感情がなくなってきていることに気付いた。花火や夜の散歩などのエモい経験も、最初のうちは感傷に浸れていたが、徐々に何も思わなくなっていった。女の子がそういう経験が好きだから、又は、女の子の記憶に俺を残したいから、俺があの子に対して味わった感情を女の子に俺に対して味わせたいから、そういう女の子を一人でも多く増やしたいから。。俺はあの子のように強かになりたかった。

 

気がつくと、機械的にデートをこなし、セックスをこなすPDCAサイクルにも飽きるようになっていた。1度抱いた子とは二度と会いたくなくなった。感傷に浸れる時間は2人だと絶対に無理で、1人の煙草しかなくなっていた。事後も早く帰ってほしいとしか思わなくなっていた。

 

今思うと、あの子も極端なまでには可愛いとは思えない。よく渋谷を歩いている夜系の女で、落とし方も分かる。今あの子と何も知らない状態で出逢っていたら、付き合えると思う。

 

タイミングを恨むし、驚くかもしれないが感謝してもいる。

 

彼女のおかげで色々な経験を積む事ができたし、コミュニケーション能力等も向上したと思う。それと引き換えに何人もの良い子達を失ってきたけど。良い子達からの誘いをブロック削除で返報するのには最初は心が痛んだが、こちらも慣れてしまい今では何とも思わなくなってしまっている。それ以上に女の子は簡単に裏切ってくるという事実。

 

俺が追っていたのは結局何だったのだろうか、自分でも分からない。あの子に今更会ったところで正直まだ気まずい気もするし、気まずくなかったとしても友達になったところで女の子に興味がないので連絡を取らなくてどうせ消える気がするし、それ以前にもうそこまで君自体に興味がないし。

 

これから先も遊びを場面で続けていくが、やっぱりあの子のことは忘れられないと思う。何十人、何百人の女の子と出会っても、あの子に興味がなくなっても。

 

救いようのない人生が始まったのはもっと前からで、2年前の夏はその一部分に過ぎなかったと信じたい。