さとえブログ

ノンフィクション/エモい/現代っ子哲学

旅行の時に福岡で出会って東京で再会した女の子

2020年10月

 

福岡に旅行に来ていた。

熊本に実家がある仲の良い女の子が、旅費全額出してくれると言うので行った。

 

しかし、一日目の夜にその女の子と喧嘩をしてしまい、女の子は二日目の朝に実家に帰ってしまった(その子とはそれ以来音信不通)。一泊二日だったため、二日目が暇になった俺は、ナンパをしようと決心した。福岡は美人でいい子が多いとの情報があり、その真偽を確かめたかった。

 

まず、警固公園周りで声をかける。

 

美容院帰りの学生、歌手志望の女の子。確かに、反応がいい。全員話を聞いてくれ、半分は連絡先まで交換してくれる。半分話を聞いてくれるかどうかの東京とは全然違う。

 

俺は嘘をついて声をかけた。旅行で来ているのに、わざと出張中の体で入れるカフェを探しているのですが、という感じに。地方ではチャラいナンパはNGの予感がしていたため。ステルス気味で声をかけ続けていた。

 

そんな中。

 

色々な場所で試したかったため、天神地下街へ行く。

 

椅子に座って休んでいる、おでこを出したロングの髪型のアナウンサー系の美女を発見。すかさず話しかける。

 

「あの、今出張中で福岡に来ているんですけど、ここの近くにおすすめのカフェってありますか?」

『いや、私も福岡あまり来ないので分からないです笑』

「そうなんですね!どっから来たんですか?」

『出身が大分で、今も大分に住んでるんです』

 

そんな感じで話が進み、相手は大分出身、大学が東京で、東京の旅行系の会社に就職したもののコロナの影響で仕事がなくなり、現在は大分の実家で暮らしているということが分かった。

 

「そういえば、こんなところで黄昏て、今何しているんですか?笑」

『今から彼氏と会うところなんですよ』

「そうなんですね!じゃあ楽しんでください。俺はカフェ探してきます」

 

と、最後に連絡先だけ聞いてその場では別れを告げた。

 

二週間後に、「もう東京帰ってきた?」とLINEを入れるも、無事未読スルー。

 

 

2021年1月

 

新年が始まり、なんとなく過ごしていた。実家に帰省したり、本厄だというので、代々木八幡宮に厄除に行ったり。

 

天神地下街でLINEを交換したあの子のことなんてすっかり忘れていた。女遊びも控えめにしていたし、他の女の子とLINEを全くしないということもなかったから。

 

ふと、LINEを開くと誕生日の友だちという欄に天神地下街でLINEを交換した子が表示されていた。これはチャンス!美人とはやはり繋がっていたいので、逃さずに「誕生日おめでとう!」の一言。ダメで元々。

 

すると

 

『ありがとうございます!』の返信。

 

胸が高鳴る。

 

東京に来ないのか尋ねると、しばらくは大分にいるとのこと。感触は悪くないと判断し、東京に来た際は連絡するよう伝える。

 

 

2021年3月

 

21時頃。友人と渋谷のシーシャに来ていた。クラブに行く前の会議、近況報告。シーシャを嗜んで、お酒を飲んで、タバコを吸って。ピンと来る子は現れず、友人と女遊びをしていた。

 

ふと携帯が鳴る。LINEの通知。二度見した。あの子からだった。

 

『そういえば来月から東京で勤務することになったので、3月末に東京帰ります!一応報告しました笑』

 

律儀すぎる。

 

慎重に言葉を選んで返信しつつ、仕事が始まる前の、3月末に無事会う約束を取り付けた。

 

 

2021年3月某日13時

 

約束当日。自分の家の最寄駅で待ち合わせる。最近そこそこ有名な街に引っ越してきたため、デート場所として使うことができる。最終目的地はもちろん家。1ヶ月も住んでいると多少は見慣れているため安心感がある。

 

改札を出たところで待っていると、彼女は時間通りに現れた。

 

グレーのコート。ロングの茶髪。二重。どう見ても美人だった。ただ、俺もこの程度ですくむ男ではないので、一切外見には触れずに歩き始める。

 

「お腹空いてる?」

『めっちゃ空いてる!』

 

最近見つけた美味しいお洒落なスパイス系のラーメン屋さんに行こうとするが、彼女が辛いものが苦手だというので、別のカフェに行こうとする。

 

しかし、満席な上に待ち時間が半端ない。

 

出鼻早々挫かれる。やばい。

 

カフェを諦め、平常を装って適当に見つけたベトナムフォーの店に入る。意外にも、この店が良かった。

 

◆1軒目 フォーの店

 

お洒落なのに誰一人としていない店内。迷わずカップルシートを選択して隣り合わせに座る。

 

お互いマスクを外す。懸念点である顔の下半分はどうか。

 

高い鼻。綺麗なEライン。整った歯並び。

 

心の中でガッツポーズ。彼女の反応的に、自分の顔の印象も悪くはなさそう。

 

二人ともフォーを注文し、話し始める。

 

この街に来るのは何回目かとか、パクチーは苦手でもフォーは食べられるのかとか、いつもどういった系統の洋服を着るのかとか。

 

彼女が東京に住んでいた頃の、学生時代の話になる。

 

「そういえば、東京の大学って言ってたけど、大学どの辺だったの?」

四ツ谷です!』

 

ピンと来る。

 

「上○?」

『そうです!』

「まじか、俺の父親も上○卒なんだよね笑」

『ということは、私は後輩ってことになりますね笑』

 

まさかの、高学歴だった。すると、トーク内容は割と絞られる。学生時代のレポートの話、学校はサボってたよね?の決めつけトーク、家から大学が近すぎると逆に行けなくなるよねって話。彼女は、寮に住んでいて門限も厳しかったそう。外泊する際も外泊届けを提出しなくてはならず、外泊先の相手の署名と捺印が必要という話は笑ってしまった。

 

そういえば。

 

「会った時そういえば彼氏いたよね?笑、もう別れたの?」

『あ、やっぱり覚えてますよね。もう別れてて、実はあの頃から仲良くなかったんですよ』

 

出た。彼氏持ちの女は大体こう言う。自分が軽いと思われたくないから。

真偽を探るために深掘りする。

 

「なんで仲良くなかったの?」

『彼氏が女関係にだらしなくて...』

 

聞くと、遠距離恋愛になって、女友達と複数人で旅行したことを隠したり、彼女が誕生日にもかかわらず同じ名前の別の女の子と食事に行っていたり、他にも色々と不信感しか抱かなかったらしい。

 

「でも別れた時は悲しくなかった?」

『いや全然!いつか別れないとなと思ってたので』

 

4年間付き合って別れたらしい。しかも別れた後はLINEをブロック済みとのこと。

 

「血液型B型で、お兄ちゃんいるでしょ?」

『すごい!私あまり当てられないのに何で分かるの?』

「占い師だから笑」

 

舐めないで欲しい。

 

話が盛り上がったところで退店。まだ話し足りないと言う印象を抱かせるために。

 

1軒目で、彼女がバイオリンを長い間やっていたということや、ピアノを齧っていたことを聞き出していたため、それを建前にカラオケに行く。伏線回収。

 

◆2軒目 カラオケ

 

驚いたことに、VIPシートに通された。他が満室だからということだが、デートでのこういうサプライズ的ハプニングは個人的には嬉しい。このテンションの上がり具合が伝染すればいいと思った。

 

 広い部屋の中で、彼女と隣同士に座り一つのデンモクを一緒に操作する。

まず、無難に愛のかたまりを歌う。

 

『聞いてみたらこの曲聞いたことあったかも笑』

 

反応は悪くない。

 

彼女の番。新垣結衣のオレンジ。

 

音楽歴が長い故に、素晴らしい音程。綺麗な見た目とは裏腹に可愛らしい歌声。かわいい。

 

「なんか一緒に歌おうよ」

 

そういって米津玄師×DAOKOの打ち上げ花火をデュエット。YUIのSUMMER SONGをユニゾン。PV中のウォークマンが懐かしいね、そういえばYUIって福岡出身だよね、もうすぐで夏だねなんて言いながらお酒を飲みつつ。

彼女は俺が勧めたソルティドッグ。俺はハイボール

 

1時間で取っていたため、あっという間に退店の時間が差し迫る。彼女はお酒が弱いといい、半分以上を残していた。あくまでもお酒は女の子に言い訳を作らせる道具に過ぎないため、一口でも飲んでくれればそれでいい。

 

会計を済ませ退店する。時刻は15時30分。

カラオケ中に顔が近くなったりして大分距離も縮まった。

 

「向こうに綺麗な通りがあるからそこ行こっか」

『うん!』

 

言葉は間違っていないが、正確には、目的地は綺麗な通りを抜けた先の自宅だった。

 

道中で、少しぶっ込んだトークを仕掛ける。

 

「そういえば、何人くらいと付き合ったことあるの?」

『二人だよ!元彼と長かったからあんまり経験はありません笑』

「じゃあキスした人数は?」

『それも二人!笑』

「ほんと?笑、他の人といい感じになったこととかないの?」

『私付き合わないとキスとかしないから笑』

 

牽制され、内心若干戸惑った。

 

そんな感じで、綺麗な通りに着く。

 

「手貸して」

『うん』

「せっかくだし手繋ぎながら通ろうよ」

『そうだね笑』

 

拒否なし。

 

そしてしれっと。

 

「ここ家だから疲れたし入ろ」

『え、こんな近いの!』

「案内するよ笑」

『じゃあお邪魔させていただきます』

 

◆3軒目 さとえ宅

 

『なんか、めっちゃいい感じに家具があるね笑』

 

それはそうだ。日常で過ごしやすいように、そして誘導しやすいように家具を購入し配置してある。

 

テーブルの前の座椅子ソファに二人で座る。

 

『この照明うちと同じかも!笑』

「そうなの?笑、一応間接照明もあるよ」

 

さりげなく、流れでメイン照明をOFFにして間接照明をON。

 

「立体感出るよね笑」

『確かに笑』

 

二人でテレビを観ながら、彼女の携帯でインスタの美味しいご飯屋さんの画像を見る。

 

一瞬の隙があった。見逃さなかった。

 

腕を引っ張って顔を近づける。少し遠ざけられるも、完全に拒否はしていない。

 

キス。若干受け入れられる。

 

そのまま首から耳にかけて攻めていき、ベッド上で怖いというグダが生じるも安心させてからそのまま交差。

 

事後トーク

 

『私こんなに長い間したことなかった』

 

照れながら彼女が言う。

 

『元彼10秒くらいしか持たなかったから...』

 

一般的に、恋愛関係にある男女が別れる原因は価値観の不一致や浮気、不信感の増大など様々だが、もしかすると夜の営みに関する不満というのも少なくはないのかもしれない。付き合うというのは口約束でしかなくて、両者にはいつでも別れることができる権利がある。今付き合っていても、一秒先はどうなっているか分からない。

 

そして、隙があると美人にはすぐに男が言い寄ってきて、時とタイミングによっては奪われてしまうことがある。

 

彼女から、この後予定があると予め聞いていたので駅まで見送る。

 

改札前。

 

「せっかくだしツーショット撮ろうよ」

『いいよ笑』

 

パシャリ。

 

「じゃあ気をつけて帰ってね!」

『うん、今日はありがとね!』

 

解散後。

 

一通のLINE。

 

『今日は本当に楽しかったです!!ありがとうございました!』

「こちらこそありがとね。ツーショット両方盛れてなかったからまた今度ちゃんと撮ろ笑」

「そうですね!笑」

 

正直、もう会う気はなかった。

 

何故か?自分でも正確には分からないが、出した結論はこうだ。

 

彼女の男経験の少なさ。そこが引っかかった。簡単に進み過ぎた。経験数が少ないが故に知っている知識や遊びが少なく、魅力的に感じなかった。また、仮にでも彼氏と付き合っている間に他のナンパしてきた男とLINEを交換するなんて信頼できない。ナンパに着いてくる女の子は嫌いなはずなのに、ナンパで出会いを求めているという自家撞着。美人でいい子なのに更にそれ以上を求める?美人でいい子で教養がある子?おそらくその上もあるのだろう。諦めない。キリがないように見える行動でも、99.99%失敗でも、成功の糸口があるならばそれを信じて継続するしかない。

 

逆境こそ最大の成功への糸口。

 

だが、今回の出会いで前よりも更に確信したものもある。

 

それは、恋愛関係は交差なしには始まらないということ。今日会う予定があったとしても、次会えるかは分からない。ならば、会っているその最中に可能な限り向こうのことを知り、こちらのことも伝え、最後まで口説き落とそうとすべきである。女の子は着いてこないような言葉を発していても内心とは裏腹なことが多々ある。前のブログでも書いたように、行動以外は全てノイズである。

また、女の子は感情の生き物であるということ。一回未読無視をされても諦めずに頃合いを見計って連絡することで今回は糸を手繰り寄せた。引きの姿勢を見せつつ、都度連絡を入れることはタイミングと感情という観点から見て理に適っている。

 

気付かない内に、自分は世間一般常識から遠く外れた存在になっているように思う。良いのか悪いのかは置いておいて。

積極的な歌舞伎コ○カフェ子/水商売の裏側

先日

 

新宿駅東口改札を出て、東口広場を抜け、アルタを横目に歌舞伎町へ向かう。見知らぬ女の子に声をかけるため。

 

前日に友人が美女ギャルを持ち帰ったとのことで闘争心が湧く。

 

歌舞伎町一番街。この街は星よりもネオンが眩しい。TOHOへと続く通りにはキャッチ、スカウト、ホスト。早足で歩くぴえん系の女、OL。

 

治安が悪く、ナンパをすると危ない人に怒られるように思われるが、意外と絡まれることはない。つまり、ナンパをするにあたっては恐れている人が多いため競合が少なく、女の出入りも激しいので意外と歌舞伎町は穴場であることに気付き、最近ハマっている。

 

1声かけ目。駅方面に向かう夜職ぴえん系っぽい女。

 

「ういっす、こんばんは」

『お兄さんスカウト?笑』

「清純なナンパです」

『えー今暇だよ笑』

 

まさかの逆打診。

 

「え、じゃあ10分だけ飲み行こ」

『私お酒苦手なの』

「じゃあ俺が一人で飲むから見といて笑、適当にどっか入ろう」

 

とりあえず歩き出す。個室がある方角へ。

道中で、『カフェとかでいいよ〜』とか言われるもガン無視して個室に向かう。

 

個室前で若干のグダつきがあるも、「俺お腹空いててここのカレー食べたいから」と建前づけて難なく入る。

 

個室内にて

 

「こっちおいで」

『えー、嫌だ。なんか緊張する』

「じゃあ、俺がそっち行っていい?」

『...うん』

 

後ろから抱きしめる。向こうも身体を預けてくる。キス。拒否なし。

 

そこからが凄かった。

 

まず、女の子が座ってる俺の足の上に乗って上からめちゃくちゃキスしてきたり、胸を顔に押し付けてきたり。俺はかわいいキャラを演じるほかなかった。

 

しかも、個室への道中で話してたことによると、かなりの年下。

 

しまいには

 

『お兄さんドMでしょ?』

 

なんて言われる始末。逆はよく言われるが、ドMは人生で初めて言われた。

 

そのままの流れで交差して、事後トーク。声をかけてからの所要時間30分。

 

よくよく話を聞いてみると、歌舞伎町のコ○カフェ嬢だった。仕事終わりに声をかけられたとのこと。何故着いてきたか尋ねると、『タイプだったから』と照れながら言われた。顔が刺さっていても、道中で『カフェにしよう』や個室前のグダが生じるものなのだと思い、多少の強引さ(嫌がらない程度にリードすること)の大切さを身に染みて感じた。

 

さて、コ○カフェについて。

 

詳しく知りたかったため、どういう客層の人が来るのか聞くと、年齢のいったおじさんがメイン層らしい。しかも、ガチ恋で付き合おうとしてくる人も多いらしい。大金を叩いてキスすらもできない側。

 

一方、声をかけてから30分で交差まで終え、好きと言われる男もいる。お金は2人合わせて1000円も使っていない。

 

この構造の歪みはどこから来るのだろうか。

おじさんが年寄りで俺が若いから?いや、コ○カフェには若い客も多少なりには来るらしい。

俺のことがたまたまタイプだったから?いや、店で出会っていたらこうは行かなかったように思う。

 

ピンと来た。出会い方の違いだ。

 

店内で会うか、店外で会うか。客として出会うか、一人の男として出会うか。接客される側か、接客する側か。

 

コ○カフェにかかわらず、水商売系の女の子は店内で会って一度客として認識されてしまうとそこから恋愛関係に持って行くのは至難の技のように思える(そういうノウハウもあるのかもしれないが)。

 

水商売系の子と恋愛関係になるには、店外で、一人の男として出会うのが一番手っ取り早い。外見を磨き、トークを磨いて水商売の店が多いエリアでひたすらに声をかけ続ける。

うまく行かない日もあるかもしれない。それでも諦めずに声をかけ続ける。すると、女神のような女の子に遭遇する。

これが、水商売系攻略である。

 

しかも、このノウハウは全ての職業・系統に応用可能である。

やり方は単純で、攻略したい層の子が多く出没する街で、攻略したい層の子が好むファッションを纏い、ひたすら声をかけ続ける。

 

今の時代、職場や客などのコミュニティの男は恋愛対象に見れない(人間関係が色々と面倒くさくなるため)と言う女の子は多い。

 

でもナンパでの出会いでしょ?とか、着いてくるなんて軽すぎる、と思うかもしれないが、自分だからこそ着いてきたのだ。この考えを持つことで自分に自信が生まれ相手との関係性が強固になる。事実、ナンパには普段着いていかないがたまたま着いてきてしまった(タイミングとか、タイプだったとか)と言う女の子は結構いる。

 

歌舞伎町では、1日あたり何人の女性が初対面の男性に声をかけられて持ち帰られているのだろう?満室のホテルを見る度にいつも思う。

 

不信用の数だけ点灯する灯り。割り箸が立てられガラ悪く捨てられたみそ汁の空きカップ。ゴミ袋から対岸のゴミ袋へと移動するネズミ。

 

仕事が終わり、この街に踏み入れるささやかな時間。

何も行動しなければ何も産まないし、生産的でなくても行動した結果は事実として残る。

 

同じことの繰り返しでも、いつかきっと。

想いを弾ませる物達

Stella DonnellyのMosquito。

死んだ友人を思い出す。

 

緑のハイライト。

吸う度に思い出す。小学校の時仲良かったあいつ。

最低なことをしたが許してくれた。何事もなかったかのように接してくれた。

今では年に一回会うかどうかの関係。

 

4月。リモートワークが始まった。9月出社。翌年1月。またリモートワークが始まった。一週間に一回は電話していたボブのあの子。合わす辻褄。

いつも寝落ちする夕べ。起きた時の間接照明。調子に乗っていると足元を救われる現実。上がらないうだつ。

 

ギルビーのウォッカ

水で割ってレモンサワーをチェイサーにする。書いている内に冷静になって気持ち悪くなってバッドに入る。その時の感情を芸術に昇華するなんて不可能ではないのか?生きた証。三浦春馬

 

Silent Sirenの八月の夜。

軽井沢に帰った恵比寿のエステティシャン。日吉駅で運命的な邂逅を望むも煙とともに消える雪。スノーボード。見れないインスタグラムのストーリー。鍵垢から見上げる公開アカウント。

 

吸った後の気持ち悪さ。

肯定は受け入れるが否定は?中々ないが分からない。進捗の概念に囚われすぎて出来ない現実逃避。

 

劣化した文才。

全てに関して疑い深すぎる。ただの暇つぶしに過ぎないがそもそも、何もかも、パワフルかそうではない暇つぶしに決まってる。

 

夜空を通過する飛行機。

ハイライト。あいつが投稿するインスタグラムの空。小さくなっていく福岡県と迫りくる東京都。CA。スタバ店員。

 

健康志向。

気を使ってアメスピの1mg。ミックスナッツ。裏で自○しそうになるまで考え込んでいるのが俺にだけバレている。バレバレ。彼女は絶対に分からない。六本木地下マリファナアルデバラン。西麻布三河屋。築地トラットリア。点と線、線と円、全てループして繋がるからこそ余裕で見える。多分あいつは人生に本気を出してない。出すのを恐れている。絶対にピースを推したい。一度壊れて仕舞えばいい。

 

マルボロメンソール。

手が震えるからと病院通いのあいつ。あいつにも最低なことをした。金が絡んでなくても最低なことはできるが、かえって絡んだ方がクリーン説はある。

 

名古屋。

美味い錦の中華屋。渋谷ハチ公前朝方のバンギャ。ガストでひたすらにバンもんを推してきたインナーブルー。潰れたForever。何かが起こりそうで起こらない。俺も貴方も行動しなかったから。要は両者にとって重要でない。

 

年越し前の雰囲気。

四扇五煙草六茄子。年越しの瞬間は語れるように記憶しておくべきとの諫言。

 

誰にも見られていないブログ。

俺は見てる。

 

クリスマス。

都内の飯屋巡り。

ファントムバイブレーション。

【正しい街】福岡県考察

2020年、福岡県に2回行った。1回目は人生で初めての福岡で、女の子に案内してもらった。2回目は友達が福岡の実家に帰るというので、付き添い兼小旅行的な感じで。

福岡県に2回行って感じたことを以下にまとめます。

 

 

福岡県は時がゆっくりと流れている

 

福岡県は、全体的に東京と比べてスピードがゆっくりとしていて、落ち着く。例えば、信号機。色が変わる時間が東京よりも明らかに遅い。女の子の話すスピードもゆっくりとしていて、話すと天然系の女の子が多い印象を持った。なぜ福岡県は時の流れがゆっくりとしているのだろうか?

 

その理由は、福岡県の地理的な構造にある。

 

福岡県は、福岡空港から博多まで電車で6分、そしてその博多から福岡随一の繁華街である天神まで電車で6分と、便利な街が密集した構造となっている。そして天神から海までバスですぐ行けてしまうし、離島までもちゃっかりと存在していて、海からフェリーで行けてしまう。有名な神社である太宰府天満宮までは天神から30分。

 

そう、福岡県は超コンパクトな構造になっている。東京だと、羽田空港から新宿に行くだけで既に30分かかってしまう。しかも、東京は新宿、渋谷、銀座、浅草等の遊び場が満遍なく分散しているが、福岡県は遊ぶとしたら天神付近一択みたいな風潮があるのでどうしても天神周辺に人がコンパクトに密集している。

 

コンパクトな構造になっていると、場所から場所への移動時間が少ないので急ぐ必要があまりない。その結果、街はゆっくりとした雰囲気になる。信号機の色が変わる時間が長くても大して気にならないようになる。情報伝達の速度は遅くても問題ないので、県民の話すスピードはゆっくりになる。一方で東京では、丸の内から三軒茶屋三軒茶屋から横浜等の移動がよくあることなので、基本的に急がなければならない。結果的に東京都民はせかせかとした生活を送らざるを得ないことになる。

 

福岡県の自然について

 

先述した通り、福岡県はまず繁華街からすぐ海に行けてしまう。天神から百道浜に行くと、見渡す限り海。ヤシの木に似たような木も叢生していたりしていて、一気に南国に来たような景色になる。その癖に、側には海の上に浮かんだ結婚式場があったり、砂浜の上の一部には歩ける桟橋があったり、空を見ると福岡タワーがあったりと感傷的な要素も欠かさない。

 

昼と夜両方で百道浜に行ったが、二面性があってとても東京にはないような自然だと感じた。昼の百道浜は春風が吹いていた。缶チューハイにストローを刺したものを片手に砂の上の橋を歩いた。見渡す限り広々とした砂浜と、吸い込まれてしまいそうな青空。それより若干濃い青色の海、寄せ返す白い波。開放的だけど静かで落ち着く表の百道浜。夜の百道浜は、秋だった。冬を迎えにかかる肌寒い秋風。別の意味で吸い込まれてしまいそうな曇天気味の空、昏い海。波はもはや見えなかった。結婚式場の明かりと福岡タワーが照らす裏の百道浜。でも、実は百道浜は表裏一体だった。二面性があるからこその百道浜なのだ。強かに波打つ海は、明るい筈なのに、どこか寂しそうな印象を受けた。

 

次に、大濠公園。行った瞬間に新宿御苑明治神宮よりも間違いなく広いと一眼で分かる。天神から電車で5分。ぐるりとランニングコースが一周し、園内には洒落たスタバがあったりする。この公園も百道浜と似ている。開放的な雰囲気。のどか。でも洒落たスタバ。福岡県民は、多分ロマンチストが多くてミーハーなのだと思う。自然の中に、東京への憧憬が見え隠れする。とても愛らしく思えてくる。ランニングコースを走っている人、犬を連れた人。多くの福岡県民は東京に対して憧れを抱いていると思う。しかしそれは幻想であって、幻想は経験を伴わない限り幻想とは気付くことができない。福岡県は福岡県のままでいてほしいが、そのままで傲慢に安定してもらわれると福岡県でなくなってしまう。

 

最後に、室見川。1回目に福岡県に行った時に、女の子に「室見川に行きたい」と言った所、かなり困った反応をされた。どうやら、福岡県民ですら室見川にはあまり行かないらしい。椎名林檎(福岡育ち)が好きだった自分は、正しい街という曲の歌詞に「百道浜も君も室見川もない」というフレーズがあるのを覚えていて、兼ねてから百道浜室見川には人生で一回は行きたいと考えていた。

 

実際に室見川に行くと、素晴らしい景色が広がっていた。桜と思われる木々が生茂る両岸の間を裂くようにして、国道と同じくらいの幅の川が流れている。橋から見下ろすどこまでも続く室見川。満開の季節に行ったらさぞかし綺麗なのだろうと感じた。女の子も昔に来たことはあったが、ここまで綺麗だとは思っていなかったと驚いていた。正しい街は、椎名林檎が上京する際に福岡の恋人に対しての想いを綴った曲であるが、東京で百道浜と君と室見川を失った彼女の福岡への郷愁に共感せざるを得なかった。

 

福岡県の女の子について

 

前提として、東京の女の子は擦れている。これでもかと思うほどに擦れている。おそらく、道を聞いても半数以上は反応すらしてくれないだろう。

 

というよりも、東京という場所が女の子を擦れさせるといった表現の方が正しいかもしれない。地方出身で純粋な子も、東京の遊びを一度知ってしまうとハマってしまうし、擦れる。人は刺激を求めているから。

 

一方で、福岡県の女の子は擦れた子が少ない。東京だけでなく、他の地方と比べても少ない。それは、福岡は男よりも女の方が多い、所謂、女余りの街だからという説があるが、個人的には、街がコンパクトであるが故に遊び場の領域が限られているからだと思う。遊ぶ街自体が擦れていないと遊ぶ女の子たちも当然擦れない。百道浜大濠公園等、街に自然が東京と比べて多い福岡県は、海へ行ったり、公園で飲んだりする機会も増えるため擦れた子が少ないのだろう。

 

しかも、福岡県の女の子は本当に可愛い子が多い。女の子の容姿を10段階で表すとして、東京の平均が5だとすると福岡の平均は6くらいある。可愛い系よりかは綺麗系の子が多い印象を受けた。東京はメイクで盛っている子が多いが、福岡はそもそも顔の造りからして綺麗な子が多い。桃源郷である。

さらに、特筆すべきは方言である。「〇〇しよると?」とか「〇〇っちゃん、〜〜」等、実際に聞けば分かるが、博多弁はとにかく可愛い。これは言葉では表現できない、本能に訴えてくるものがある。まさに鬼に金棒である。

 

2回目に福岡に行った際に警固公園天神地下街でナンパをしたが、9割の子が話を聞いてくれたことにはとても驚いた。東京では半数以上はガン無視を決め込む。そして、東京では1割ほどしか連絡先を交換してくれないが、福岡では約半数が交換してくれた。道を尋ねるフリをしてナンパをするという間接的な手法で声をかけ続けていたが、勝手に目的地まで案内してくれたり、勝手におすすめの飲食店を教えてくれたりしたので、最終的には良心が痛んでナンパを続行することが困難になってしまった。福岡で女遊びを継続できる男はサイコパスに違いない。

 

福岡県のご飯について

 

どこの店に入っても飯が美味い街、福岡。今まで行った都道府県の中で一番ご飯が美味しいと感じたのは新潟県であるが、肩を並べるレベルでご飯が美味しい。豚骨ラーメン、明太子、魚。個々の店で、全てのメニューが完成されている。どこに入っても、その店の突き詰めた料理が味わえる。適当に入った居酒屋でも、適当に頼んだメニューが馬鹿みたいに美味しい。安い。本場の豚骨ラーメンが500円前後の値段で食べられる。本場でない東京だと800円することに矛盾を感じる。

 

大橋の一九ラーメン、原町の味のまんぷく。ここは特に素晴らしかった。福岡では、締めに豚骨ラーメンを食べるのが一般的だそうで、ラーメン屋でラーメン以外のメニューも充実している。一九ラーメンでラーメンのスープに浸して食べたおにぎりと味のまんぷくでのしそチャーハンは忘れられない。最近調べた所、天ぷらのだるまという店が美味しいらしいので次行った時は食べたい。

 

おわりに 

 

福岡県は、本当に素晴らしく、正しい街である。東京で知り合った女の子に福岡出身だと言われるとそれだけで少しドキっとしてしまう。でも、価値を感じたら負けということは重々知っているので、いつも心の内側に留めている。

 

また最近、東京の人で福岡県が好きな人は案外少ない、という説を聞いて耳を疑った。そういう人は、福岡に一回も行かずに勝手に決め付けているに違いない。大馬鹿者である。話の通じない馬鹿は置いておいて、伝わる人にだけ福岡の魅力が伝わればいい。少なくとも自分は福岡推しである。割と本気でいつか福岡に住みたいとも思っている。なんとなく、東京でバグった感性が自然に治癒する気がするから。

Tinderで出会った女子大学生に惚れかけた話

2020年3月

 

コロナウイルスが広まって世間が完全自粛ムードの中、在宅ワークで暇だったこともあり、tinderを回していた。

 

だが、マッチしても

『今はコロナだから、、』

とか言われて中々会うまでに至らないというもどかしい季節が続いていた。

 

そんな中、一人の女の子とマッチした。

 

ヘアオイルでセットした感じの、ボブではないおかっぱ系の髪型(韓国ではタンバルモリという)のリップメイクが映えた子で、イメージはTwiceのモモからクールさを取り除いた感じ。かわいい。

 

「今何してるの」

 

『ともだちと飲んでる!』

 

「どこで飲んでるの」

 

『さいたま!』

 

こんな感じでバンバンとラリーが続くような子で、第一印象は少しアホっぽいのかな?と思った。

 

こういうタイプは正直苦手だが、とりあえず顔がタイプだったのでLINEを交換して電話をすることでどういう人間かを把握することにした。

 

すると、文面とは裏腹に話す声は落ち着いていた。本当にこの子が活発そうなテキストを打っているのか?と疑うほどに。

 

また、話しているうちにモモは来月から大学3年生で、俺の実家がある市に家族と一緒に住んでることが分かった。意外な共通点。

 

話した内容は、真面目な恋愛の内容と言った感じだった。最初はこちらが向こうをいじる感じで和み徐々に打ち解けていき、まずは元彼がどんな人なのかを深掘る。写真を見せてもらう。黒髪マッシュでピアスが開いておりラフなファッションをしている。典型的なカジュアル系クズ......。

 

元彼と別れた理由を聞き出すと、浮気されたとのこと。高校を卒業してすぐにモモは最初は遊びのつもりでマッチングアプリを始め、男と遊んでいたが、そのうちの一人とセックスしてからも遊ぶようになり、最終的にカラオケで告白されて付き合った。そして二年ほど経って一緒にスキー旅行に行った日のこと。元彼が席を外している間にふとスマホの通知が目に入る。マッチングアプリの通知だった。それを元彼に追求したところ浮気が発覚し、別れるに至ったと言う。

 

この子はクズにハマりやすいタイプなんだな、と文面から何となく察してはいたが、改めて確信に変わった。

 

となると、この子を落とすには俺もクズになりきって接していかなければならない。

 

女遊びしていることを包み隠さず、徐々に伝えていった。すると、案の定食いつきがみるみるうちに上がっていった。

 

ただ、この子は他の子とは違って長期戦になる予感がしていた。もう男遊びは一通り済んだと言っていたから。必然的に戦略は、俺のことを好きにさせること一択だと思った。

 

マッチして初めて通話したのが3月で、それから一日に一回くらいLINEして、途切れたら一週間に一回ほど長電話して、と言う要領で関係を進めていった。徐々に自分のことを好きになってきていると言う実感が得られた。

 

話した内容は、モモがBTSが好きなこと。忘れられない曲があること。琥珀色の街、上海蟹の朝という曲が好きなこと。淡々として落ち着いた雰囲気とは裏腹に感傷的なことが好きなこと。カラオケで女友達と男と3Pをしたことがあること。。正直少し嫉妬してしまった。

 

どこか俺に似ていた。

 

俺も自分が友達や家族にも話せないことを徐々に話していった。お互いに、仕事ともプライベートとも違った第三の場所という関係性で暗黙に合致していたように思う。俺も段々とモモとの電話が居場所になっていっていた。でも今思うと、俺はそれに気付いていなかった。

 

2020年5月

 

リモート飲みをしようとのことで酒を飲みながらLINE通話をした。俺はギルビーのウォッカ、モモは烏龍割り。

 

酒を飲んでいるうちにお互い酔ってきて、急遽会おうと言う話になった。22時。俺は終電でモモの最寄りに行くことにした。

 

本当に来るのか?と勘繰りつつ1時間ほど電車に揺られ、待ち合わせ場所に着く。エスカレーターからジャージを着た写真通りの女の子が登ってくる。モモだった。いや、写真よりも可愛かった。

 

深夜から公園で飲んだ。そこは、モモとの通話でも度々登場していた場所だった。よく地元の友達と飲んでいる公園だと言う。5月の夜にもかかわらず、寒かった。半袖を着たモモが終始寒がっていたのが印象に残っている。

 

話した内容は電話と変わりなかった。というか、もう色々と話しすぎていて新たに話す話題が見つからなかった。たどたどしくモモを抱きしめようとするとモモは嫌がった。

 

ガールズバーにいる客じゃんw』

 

今思えば押せばいけたのかもしれないが、俺は引いた。ここまで関係を築いてきたのに、壊すのが怖かった。と同時に、本当に気になっている相手に対してはうまく振る舞えないものだと再認識した。

 

女に対して、クズを振る舞えば食いつきが上がるのだが真面目に口説こうとすると大抵うまくいかない。力を入れすぎるとうまくいかず、適当にやると案外うまくいくというのは人生における大体の物事に対して言える。

 

結局、琥珀色の街、上海蟹の朝を流したりBTSのAutumn leavesを流したり、モモの前で他の女の子に電話をかけて嫉妬させようとしたり色々と空回りしてその日は始発で帰宅した。

 

公園から駅までの帰り道、俺は言葉をあまり交わすことができなかった。改札の前でモモのことを抱きしめてバイバイした。

 

帰りの電車の中、もう俺は無理だと思っていたのと、あまり依存したくなかったのでモモのラインをブロックした。しかし、何故かできなかった。ブロックボタンを押したのだが、通信環境が悪くて何故かできなかった。今日はとりあえず置いておいて翌日にブロックしようと思った。

 

すると、モモからLINEがきた。

 

『寒かったけど体調とか大丈夫?気をつけて帰ってね!』

 

死ぬほど嬉しかった。あ、まだあるんだ。感情を動かされて完全にクズ失格。

 

ここで速攻で返信しても気持ち悪いと思ったので、自分の最寄りに着いて駅を出る頃にあえて素っ気なく返す。

 

そこからまた前のようにLINEが続いていった。

 

コロナウイルスによる沈黙の夏が過ぎ、秋に入りコロナがひと段落したが俺はモモを誘わなかった。次会う時は前よりも自分を磨いて、カッコいい状態で会いたいと思っていたから。完全に空回りだった。

 

しかし、今思うとこれが案外うまく作用したように思う。

 

2020年11月

 

一通り自分磨きが完了したと感じた俺は、モモに一発本気の電話を入れようと思った。いつもみたいな第三の場としての電話でなく、普段初見の女に対して入れる本気の誘いの電話。適当なフリして実は緻密に計算された短い誘いの電話。あまり長く電話をすると冗長になって向こうの決断が遅くなる。

 

結果、誘いは成功した。11月某日に大宮駅で会うことになった。

 

2020年11月某日

 

19時、大宮駅の豆の木で待ち合わせた。豆の木といえば、埼玉県民御用達の待ち合わせ場所。俺もモモも埼玉出身だったため、よく分かっていた。高校の頃は狂ったように友達と豆の木で待ち合わせてゲーセンに行く生活をしていた。

 

豆の木の鏡で身なりを整えていると、後ろからモモが来ているのを認めた。モモは5月に会った時の通りだった。俺は自分に自信があった。というより、無理矢理でも自信を持っていかないと負ける気がしていたため、意地だった。これは普段の通話のような友達としてでなく一人の女に対しての本気のデート。ここで散っても構わなかった。散る自信は皆無だった。俺もここまで色々な経験を積んできた。

 

「よ、久しぶり」

 

慣れた手つきでモモの頭をポンっとする。拒否の言葉なし。今日は必ずいけると確信した。

 

それなら、相手にとって絶対に記憶に残る日にしようと思った。俺はさらに目標を上げた。

 

正直、大宮で女の子を持ち帰ったことはなかったため、俺は事前に店から店への導線、そしてホテルへのルートを死ぬ気で調べていた。俺ならいける。

 

一軒目はHUB東口店。

 

俺はジントニックで、モモにはこれがおすすめだよ、とソルティドッグを飲ませた。フチに付いた塩を舐めつつ飲むカクテル。モモは気に入っていた。

 

あたかもモモの過去を知らなかったかのように最近どう?とぶっこんでからの今まで付き合ってきた男の話に移行。モモはあまり喋るタイプではなかったのでこちらがひたすらに相槌を打ちつつ話させる。すると、少しずつモモが話すようになる。

 

二杯目、俺はシャンディガフでモモはチャイナブルー。いつの間にか話す割合はモモの方が多くなっていた。俺はその裏でひたすらに頭を回転させていた。話したいのは山々だったが、長引きすぎると二軒目に移行できないので二杯目を飲み終えてすぐに店を出る。物足りなさの演出。理論通りにいく。滞在時間は1時間ほどだった。

 

「なんか最近カラオケ行ってないから行きたいな」

 

ちゃんと一軒目でカラオケ関連の話をし、伏線を張っておいた。

 

スムーズに二軒目に移行。カラオケ歌広場南銀座店。

 

俺はこの場を特に思い出に残させたかった。そのため、早めに勝負をかけるのは違うと思い何曲か歌ってからにすることにした。

 

一曲目、愛のかたまりを歌う。あくまでも真面目でなく少しちゃかした雰囲気の感じで。

 

モモの番。何の曲を歌うんだろうか?

 

モモはaikoのもっとを入れた。

 

僕の前から消えた君の心が消えた
「あたしはねあなたの事が好きなんだよ」
信じてられた瞬間は ほんとに瞬間で
もっと もっと もっと もっと ねぇもっと
そばにいたかったんだ

 

誰に対して歌っているんだろう?元彼?気になった。

 

しかし、それ以上にモモは歌が上手かった。控えめだけど透き通った歌声。本気を出したら相当上手いだろう。そういえば、高校時代は箏曲部で大学はアカペラサークルに入っていたと言っていた。人間関係が原因で辞めてしまったらしいが。

 

気付いたら聴き入ってしまっていた。しかし、これは本気のデート。感情を挟むと上手くいかない。冷静に、冷静に。

 

二曲目。俺は赤西仁のEternalを歌う。十八番だった。この曲も本気で歌うと真面目感がでてしまうため、無難に歌う。最後の「今日もありがとう」という歌詞のところで声が裏返ってしまったが、これで雰囲気をしっぽりと、かつ明るくすることができた。運が良かった。

 

次に、モモが選んだ曲。あいみょんの今夜このまま。

 

今日は勝てると完全に確信した。

 

歌い終わったタイミングで

 

「なんか一緒に歌おうよw」

 

『何歌うの笑』

 

宇多田ヒカルとか歌える?」

 

『うん少しだけ』

 

「じゃあFirst loveでも歌うかw」

 

『えー、いいよ笑』

 

二人でFirst loveをユニゾンした。

 

これが本当に良かった。俺の低い声とモモの透き通った声が絶妙にマッチして、旋律の上に最高の音楽を生み出す。モモも感傷的になっていたように見えた。

 

歌い終わり、モモが飲み物に口をつける。判断力が鈍っているタイミングで顔を近づける。拒否なし。

 

唇を重ねる。

 

重ね返してくる。

 

とろけるようなキスをして、抱きしめる。5月に公園であれだけ拒否をしていたモモが身を委ねてくる。愛を感じた。

 

「そろそろ出よっか」

 

手を取ってホテルへとリードする。

 

『あの、これってどこに行くの?笑』

 

定番のグダり文句はこんな状況でも起こりうるのだと少し感心した。でも、俺はこれが建前だということが分かっている。積んできた経験が違う。

 

「そこだよ」

 

適当に流してホテルに入る。適当に部屋を選ぶ。空いててよかった。

 

部屋に入りドアを閉めた瞬間、抱きしめる。モモのマスクを取り、俺もマスクを取り、二回目のキスをする。モモの目はとろけていた。

 

アウターをハンガーにかけてあげ、照明を薄暗く調節する。いい感じに階段下の間接照明が室内を照らす。舞台装置は完璧だった。

 

ベッド横に連れて行き、立った状態で抱きしめ、キスをする。

 

ベッドに移動し、そのまま交わる。

 

全てが終わる。

 

ベッドでモモに腕枕をしながら話を聞いていると、どうやら俺に惚れたようだった。序盤とは違い、色々なことを話してくれる。

 

裏腹に、俺は気持ちが冷めかけていた。冷静に一人の女の子に接していたので完全に感情はなくなってしまっていた。クズで女慣れしている男を装ったことによって本心は消失してしまっていた。でも真面目にアプローチしていたらこうはならなかったんでしょ?口には出さなかった。もう心は何処かへ飛んで行ってしまっていたから。

 

「もうそろそろ終電があるから行かなきゃ」

 

モモは何かを察したようだった。

 

帰り際、モモは靴下を探していた。どうやら、脱いだ片方が見つからないみたいだった。

 

大宮駅の改札に一緒に入場する。

 

『私ホームまで見送るよ』

 

電車が来る。モモはなかなか繋いだ手を話してくれなかった。

 

「もう行くよ笑、今日はありがとね、バイバイ」

 

『うん、気をつけてね』

 

家に着くと、ポトンと何かが落ちてきた。

 

モモが探していた片方の靴下だった。俺の服のどこかに入ってしまっていたらしい。

 

モモに聞くと捨てていいとのことだったので、思い出が残ってしまわないうちに捨てた。

 

 

 

 

 

 

 

2020年12月

 

それから、暫くお互いに連絡することはなかった。

 

ふと、モモのLINEプロフィールを見るとある曲が設定されていた。

 

宇多田ヒカルのTimeという曲だった。

 

 

カレシにも家族にも言えない
いろんなこと
あなたが聞いてくれたから
どんな孤独にも運命にも耐えられた

降り止まない雨に打たれて泣く私を
あなた以外の誰がいったい笑わせられるの?

いつも
近すぎて言えなかった、好きだと
時を戻す呪文を胸に今日も Go

キスとその少しだけ先まで
いったこともあったけど
恋愛なんかの枠に収まる二人じゃないのよ

(そゆことそゆことそゆこと)

 

 

............ 

 

 

2020年12月某日

 

俺はモモに電話をかけた。

 

すると、いつものモモとは違った女の声が。

 

『もしもし?あんた誰?』

 

「モモに聞いてみなよ」

 

『(裏でモモに聞いている話し声)』

 

『モモも誰この人?って言ってるよ』

 

「なるほどね、てかお前が誰だよ」

 

『わ、私?モモの彼氏ですけど』

 

「そうなのね、お幸せに」

 

『もうモモに連絡するのやめて』

 

「分かった」

 

何となく理解した。

 

俺は「さよーなら」と一言LINEを入れてモモをブロックし、ブロックリストからも削除した。

読了: デカルト『方法序説』

あらゆる学問分野において通じる、極める方法論が書かれた本。

 

まとめると

 

・その分野における絶対的な公理をまずは探す

・その公理から導き出せる一番簡単なものから潰していき、階段を登るように高みに向かう

・全ての時間を極めたい物事に費やす

 

一番ためになったのは、第6部で作者がこの本を書くにあたって、名声や富などがいらなかったと述べている箇所。

 

・全ての時間を極めたい物事に費やす

の補足に近い部分だが、自分の解釈としては

 

自分軸を持つことが必要。

自己内で満足できる軸を持つと、他者評価を必要としないため、自己満足するために本当に自分がしたいことだけを選択できる

→ゆえに全ての時間を極めたい物事に費やすことができる

 

現代版だと、他者承認を要さないならSNSとか無駄に開いたりしないよね、って話。(無駄な時間が減り、自分のしたいことにその分の時間を使うことができる)

 

また、人間はたとえ周りの人間が何らかの手によってプログラミングされてて、理性が与えられていたとしても絶対に気付くことはできない。

 

ということや

 

獣と人間とを判別するのはただ理性があるかないかだというようなことが書かれてあり、面白かった。

どう見ても20代中盤に見えないアパレル子

某日

 

仕事帰り、22時頃新宿駅でナンパをしていた。

 

東南口、喫煙所前。1ナンパ目。

目が可愛い、紺のコートを着たポニーテールの子に声をかける。

 

「ういっす、こんばんは」

『こんばんは笑』

 

あれ、今日反応いいかも。

 

「こんなところで一人で黄昏て何してるんですか?」

『先輩が喫煙所行ってて一人で待ってます笑』

『てか、韓国人ですか?』

 

でた。また今日も言われる。

 

「下半分は日本人だから!」

 

マスク取っていつもの流れ。

 

『あー、、』

 

この時は一瞬顔グダされたかと思ったが、その後先輩が来そうになったので暇になったら連絡してと伝えてLINEだけ交換した。

 

すると、10分後くらいにLINEが来る。

 

『あんな感じでよくナンパしてるんですか??笑』

「お、暇になった?」

『今帰ってるところです!』

「新宿きなよ笑」

『今日は明日早いので帰ります!』

「分かった!じゃあ今度ご飯いこ!」

 

返信が1時間くらい途切れてから、「OK」の旨のスタンプが送られてくる。日程を調整して、10日後くらいに会う約束となった。

 

しかし

 

5日後

 

『すみません、やっぱり知らない人と会うの怖いので考えさせていただきます...』

 

なんだと。

 

「わかった」

「じゃあ明日少し電話しよ!」

 

何のじゃあなのか分からないが、女には支離滅裂な論理展開でも通用するのでとにかく繋げる。これは軽い女と見られたくないので何かしらの策を男から打って欲しいとのメッセージと見た。

 

翌日、30分間の電話。電話は、綺麗すぎるほどにうまくいった。年齢、仕事から過去の恋愛話まで。彼女は実は自分から話すのが好きなタイプなようで、俺は聞く側に回るのも嫌いではないため、7:3くらいの割合で彼女に話させた。彼女は20代中盤で新宿のアパレル店員をやっており、3年半付き合った彼氏と1年前に別れてからフリーということだった。

 

結果、電話の最後にいい人そうで安心しましたと言われ、難なく当日は会ってくれる運びとなった。

 

当日

 

『すみません!仕事が長引いて15分くらい遅れます!』

 

この子は連絡がとてもしっかりしていた。正直、そこら辺にいるような無連絡ドタキャン女とは違うと俺は確信していた。

 

15分後

 

アルタ前に現れた彼女は、前回と雰囲気が違っていた。ほどいた髪にイエベ秋って感じの統一感のあるコーデと、それを纏め上げる白いブーツ。俺こんな可愛い子に声かけたんだ、ってレベルだった。

 

そこから歌舞伎町の某うどん屋に移動。実は、1つだけここまで見逃していた懸念点があった。

 

マスクである。

 

マスクをした状態の彼女はどう見ても美人だが、外したらどうなのか?

 

席についてお互いマスクを外す。

 

............

 

正直、にやけてしまった。

 

綺麗に整ったEライン、小顔、笑うとできる笑窪。どう考えても20代中盤に見えない。可愛い系と綺麗系の融合。俺が好きなエステティシャン系だった。

 

でも、ここでその容姿について触れると普通の男と同じレッテルを貼られるため、あえてガン無視してひたすら彼女の価値観を掘りまくる。

 

とりあえず安定の、最近どうなの、でアバウトにぶっ込んでから反応が良い話題を深掘りする。

 

恋愛トークの反応がよかったので掘り下げる。

 

『私男の人を見る目ないんだよね〜』

 

もっともっと掘り下げる。

 

『リアルコミュニテイの人と付き合ったりするの好きじゃなくて、なんかこう、急にふって現れて誰!?みたいな謎な人がいいんだよね』

 

それ俺じゃん!みたいなことは言った瞬間終了だ。

 

「そろそろ出よっか」

 

盛り上がってきて相手が喋り足りなさそうなタイミングで店を出る。もちろん二軒目に繋げるため。

 

外に出て秋風を浴び、寒いねなどと言い合う。

 

「お酒でも買ってどっかで飲もうか」

 

......どうだ。

 

『私あったかい飲み物がいいな』

 

ギリ通ったっぽい......?

 

コンビニでほろよいとほうじ茶ラテを購入し(パピコを半分こしたかったが断られた)、ホテル街へと向かう。

 

『これどこ向かってるの?』

 

「いや、適当に」

 

この間の沈黙が一番アウトなので彼女の家族構成についての話でつなげて、

 

「ここにしよ」

 

ホテルに入る。

 

何も言わずに着いてくる彼女。

 

「ここでいい?」

 

部屋の番号を指差す。

 

首を振る彼女。

 

「じゃあここは?」

 

また首を振る。

 

分かってる。逃げないということはこんなものが建前だということを。女の行動以外は全てノイズである。行動のみでこちらの次のアクションプランを考えるべきである。

 

強引にじゃあここで、と適当な部屋のボタンを押してエレベーターに乗り、部屋に入る。照明を暗くする。

 

『なんか怖い』

 

と言って彼女は椅子に座り犬みたいに縮こまっている。

 

「何が怖いの?」

 

俺はベッドに腰掛けながら聞く。

 

『知らない人と二人きりっていう空間が怖いじゃん』

 

「怖かったらダッシュして帰っていいよ」

 

『うーん......』

 

行動以外は全てノイズ。

 

「帰らないってことは少しでもいいって思ってくれてるってことだよね?」

 

『でも君のことほとんど知らないじゃん』

 

「教えるから、そんなところにいても余計に距離縮まらないからこっちおいで」

 

で渋々俺の横に座る。

 

俺はひたすら個人情報を開示した。どこの会社で働いているか。家族構成。元カノの話。しまいには、鞄の中身も疑われて全て見せることになった。

 

一通りの情報を知った彼女からは安心したオーラが感じ取れた。

 

今だ!今しかない!

 

彼女を抱き寄せてキスしようとする。

 

拒否。

 

『キスはしないよ』

 

「じゃあハグしながら寝よ」

 

『うん......』

 

ハグしながら横になり、軽く頭を撫でる。拒否なし。軽く耳を触る。拒否なし。耳を愛撫する。拒否なし。耳を舐める。......拒否なし。

 

そこからは二人で溶け合った。

 

でも何故か、キスだけは積極的にしてくれなかった。

 

事後

 

『やばい、終電ないよ笑』

 

俺は終電があったので、うちに来るかと尋ねると迷っているそぶりを見せたので、きな、と伝えて急いで支度をさせ、歌舞伎町を走り抜けてなんとか10分後の終電に駆け込んだ。

 

『よく知らない女を家にあげられるね笑』

「新宿に女の子一人置いて帰る方が怖いから笑」

 

なんか、この子は放って置けなかった。

 

人身事故で電車が40分ほど遅れて到着するというアクシデントがありながらも、なんとか俺の最寄りに到着。ドンキに寄ってから二人して家に着く。午前2時。

 

着替えとか色々用意してあげていると、

 

『なんか、さとえ君って優しいよね』

 

なんて言われて嬉しかった。

 

二人して歌舞伎町走っているときに手引いたり、セックス中の細かな気遣いなど感じ取ってくれたのだろう。俺も誰にでもやるわけでもないが、この子に対してはいいと思ってもらいたい一心で気を遣っていた。自然と。

 

ベッドの中でお互いの恋愛遍歴や好きな/嫌いな食べ物、好きな曲などについての話をしていると、なんか愛しく感じてきたのでキス。

 

受け入れられる。

 

そのまま重なる。

 

最中

 

『私キスの仕方あんまわかんないから......』

 

「どういうこと?笑」

 

『私からいっぱいしていいの......?』

 

めちゃくちゃに興奮した。

 

また、正○位で突いている時に

 

『ねぇ、チューして?』

 

さっきまでのあの拒否はこのための伏線だったのか?と思うほどに求められて本当にやばかった。

 

事後。午前4時30分。あーあと3時間くらいしか寝られないね、なんて言いながら。

 

さっきの答え合わせをする。

 

「なんでさっきはホテルで嫌がってたの?」

 

『えー、なんか軽い女って思われたくなかった。でもガード硬すぎたよね、ごめんね笑』

 

可愛すぎて全てを許す。

 

多分、お互いがお互いを好きになってしまった。

 

午前7時30分。

 

また会おうね、と言って駅まで見送って解散。

 

LINEは現在でも続いており、また会うこととなっている。

 

でも、果たしてどうなのだろう。やはり、出会いがあると必然的に別れを想像してしまう。俺の悪い癖かもしれない。なんとなく、いつか近いうちに別れるだろうことを予感している。何故かはわからないけど。