さとえブログ

ノンフィクション/エモい/現代っ子哲学

就活史上最悪の面接

さとえ(@satoe_chan_)です。

 

先日あった某企業の面接での出来事。

会場に着くと、案内役に面接室に通された。そこには席が二つ用意されていた。内1つには、既に帰国子女風のオーラを醸し出した女が着席していた。対面には、面接官が1人待ち構えていた。

 

面接官「本日はお忙しい中弊社の面接に足を運んでくださりありがとうございます。では、早速ですが私から見て右の女性の方から自己紹介をお願いします」

 

女「はい。M大学経営学経営学科のKと申します。グローバル人材育成関係のゼミに所属しており、サークルは広告研究会に所属しておりました。主にミスコンの運営に携わっていました。趣味は海外ドラマを視聴することです。本日はよろしくお願いします」

 

面接官「ありがとうございます。では、次にそちらの男性の方お願いします」

 

俺「はい。K大学経済学部経済学科のNと申します。すいません、単刀直入にお伺いするのですが、ちょっと座禅組んでもいいですか?」

 

面接官「はい……?」

 

俺「いやあ、椅子にばっかり座って面接受けてると、仏教の精神も忘れてしまうでしょう。私も昔は僧侶を第一志望としていた時期があって、清水寺に就職したかったんですよね。家がキリスト教だったんで諦めましたが……っとすみません。座禅、組ませていただきます」

 

面接官「はあ」

 

女「私も失礼します」

 

俺「ところで、今この現実がヴァーチャル世界であると仮定します。すると、まあ簡単に申すと寝ているときに見る夢と同じである訳です。私はもちろん、あなたも何をしても良いことになります。自己紹介など、もっといえば面接なんて野暮なことはやめて、ひたすらセックスか殺人か都市伝説について語り合いませんか?」

 

面接官「いや、これは面接ですので、そのようなことはするつもりはございません。Kさんにも迷惑がかかるので、これ以上妨害するつもりであるのなら、強制退出という措置を取らせていただきます。」

 

俺「いや、彼女は座禅組んでるんで大丈夫です。妨害?少なくともそのようなことをしているつもりはありませんね。客観的なデータを語るより今までの発言が何よりの私の自己紹介となったでしょう」

 

面接官「では、自己紹介は終了でいいですね……?」

 

俺「はい」

 

面接官「分かりました……では次に、弊社を志望した理由をお聞かせください。Kさんからお願いします」

 

女「……」

 

面接官「Kさん?」

 

俺「彼女、座禅組んでるでしょ。見れば分かりますよね」

 

面接官「は、はあ……」

 

俺「なんでもかんでも女が先なんですね。これがレディーファーストってやつですか?彼女はもう面接より上のステージへと旅立った、といっても最終選考へという意味ではないです。見れば分かるでしょう。解脱したんですよ。釈迦って知ってます?」

 

面接官「知ってますが、今は関係の無いことかと……」

 

俺「彼女は釈迦になったのです。論理的に考えて、次は私の番ですよね?」

 

面接官「では、弊社への志望動機をお聞かせください……」

 

俺「はい。大学で宇宙工学を専攻しておりましたので、隕石の転売にとても興味があるからです。学費は全て岩石の拾い売りで稼ぎました。次は隕石に手を出してみたいです。」

 

面接官「失礼ですが、弊社の事業内容をご存知でしょうか……?それに、経済学科に宇宙工学というものはあるのですか……?」

 

俺「んなもん知らねえ。横の女にでも訊いてろよ」

 

面接官「はい?」

 

俺「失礼しました。はい。御社の事業内容は、主に冥王星海王星から飛来していた隕石の回収だと伺っております。経済学科に宇宙工学というものは実は存在しないのですが、私は経済は宇宙工学と等しいという認識でいるので、私が宇宙工学と言ったらそれは宇宙工学なのです」

 

面接官「いや、弊社の事業内容は隕石の回収などでなく、虫取り網や釣竿を中心とした無人島生活に役立つ商品の開発なのですが……失礼ですが、説明会には参加されましたでしょうか?」

 

俺「はい。0回参加しました」

 

面接官「参加してないということでよろしいでしょうか?」

 

俺「いや、0回参加したと言っているでしょう」

 

面接官「……」

 

俺「あなたは西田幾多郎を知っていますか?ここに"スイカがない"という現実はあるのです。よって0回でも参加したと言えるでしょう?」

 

女「説明会、私は2回参加しました」

 

面接官「西田幾多郎は知らないですが、1回以上の参加を我々は参加と呼んでいます。つまり、Nさんは参加していない、という扱いになります」

 

俺「そうなんですね。ならそれでいいです。しょうもないですね」

 

女「この世の全てはしょうもないですよ」

 

俺「お前は少し黙ってろ」

 

女「なんかこの部屋、墨汁の匂いしますよね」

 

俺「お前から漂ってるんじゃね?」

 

女「私の家系に書道家は一人もいなかったはずです。ところで、愛と恋の違いって何だと思いますか」

 

俺「人間はいつか死ぬっていう点では、両方同じだろ」

 

女「正解です」

 

俺「とりあえず、この後名古屋でひつまぶし食ってから小樽に海鮮丼食いに行かね?」

 

女「それいいですね」

 

俺「よし、決まり。ではすみません、失礼します」

 

面接官「……」

 

女「失礼します」

 

 

1週間後、1次面接結果のご連絡という題名のメールが届いていた。

結果は、不合格であった。