どう見ても20代中盤に見えないアパレル子
某日
仕事帰り、22時頃新宿駅でナンパをしていた。
東南口、喫煙所前。1ナンパ目。
目が可愛い、紺のコートを着たポニーテールの子に声をかける。
「ういっす、こんばんは」
『こんばんは笑』
あれ、今日反応いいかも。
「こんなところで一人で黄昏て何してるんですか?」
『先輩が喫煙所行ってて一人で待ってます笑』
『てか、韓国人ですか?』
でた。また今日も言われる。
「下半分は日本人だから!」
マスク取っていつもの流れ。
『あー、、』
この時は一瞬顔グダされたかと思ったが、その後先輩が来そうになったので暇になったら連絡してと伝えてLINEだけ交換した。
すると、10分後くらいにLINEが来る。
『あんな感じでよくナンパしてるんですか??笑』
「お、暇になった?」
『今帰ってるところです!』
「新宿きなよ笑」
『今日は明日早いので帰ります!』
「分かった!じゃあ今度ご飯いこ!」
返信が1時間くらい途切れてから、「OK」の旨のスタンプが送られてくる。日程を調整して、10日後くらいに会う約束となった。
しかし
5日後
『すみません、やっぱり知らない人と会うの怖いので考えさせていただきます...』
なんだと。
「わかった」
「じゃあ明日少し電話しよ!」
何のじゃあなのか分からないが、女には支離滅裂な論理展開でも通用するのでとにかく繋げる。これは軽い女と見られたくないので何かしらの策を男から打って欲しいとのメッセージと見た。
翌日、30分間の電話。電話は、綺麗すぎるほどにうまくいった。年齢、仕事から過去の恋愛話まで。彼女は実は自分から話すのが好きなタイプなようで、俺は聞く側に回るのも嫌いではないため、7:3くらいの割合で彼女に話させた。彼女は20代中盤で新宿のアパレル店員をやっており、3年半付き合った彼氏と1年前に別れてからフリーということだった。
結果、電話の最後にいい人そうで安心しましたと言われ、難なく当日は会ってくれる運びとなった。
当日
『すみません!仕事が長引いて15分くらい遅れます!』
この子は連絡がとてもしっかりしていた。正直、そこら辺にいるような無連絡ドタキャン女とは違うと俺は確信していた。
15分後
アルタ前に現れた彼女は、前回と雰囲気が違っていた。ほどいた髪にイエベ秋って感じの統一感のあるコーデと、それを纏め上げる白いブーツ。俺こんな可愛い子に声かけたんだ、ってレベルだった。
そこから歌舞伎町の某うどん屋に移動。実は、1つだけここまで見逃していた懸念点があった。
マスクである。
マスクをした状態の彼女はどう見ても美人だが、外したらどうなのか?
席についてお互いマスクを外す。
............
正直、にやけてしまった。
綺麗に整ったEライン、小顔、笑うとできる笑窪。どう考えても20代中盤に見えない。可愛い系と綺麗系の融合。俺が好きなエステティシャン系だった。
でも、ここでその容姿について触れると普通の男と同じレッテルを貼られるため、あえてガン無視してひたすら彼女の価値観を掘りまくる。
とりあえず安定の、最近どうなの、でアバウトにぶっ込んでから反応が良い話題を深掘りする。
恋愛トークの反応がよかったので掘り下げる。
『私男の人を見る目ないんだよね〜』
もっともっと掘り下げる。
『リアルコミュニテイの人と付き合ったりするの好きじゃなくて、なんかこう、急にふって現れて誰!?みたいな謎な人がいいんだよね』
それ俺じゃん!みたいなことは言った瞬間終了だ。
「そろそろ出よっか」
盛り上がってきて相手が喋り足りなさそうなタイミングで店を出る。もちろん二軒目に繋げるため。
外に出て秋風を浴び、寒いねなどと言い合う。
「お酒でも買ってどっかで飲もうか」
......どうだ。
『私あったかい飲み物がいいな』
ギリ通ったっぽい......?
コンビニでほろよいとほうじ茶ラテを購入し(パピコを半分こしたかったが断られた)、ホテル街へと向かう。
『これどこ向かってるの?』
「いや、適当に」
この間の沈黙が一番アウトなので彼女の家族構成についての話でつなげて、
「ここにしよ」
ホテルに入る。
何も言わずに着いてくる彼女。
「ここでいい?」
部屋の番号を指差す。
首を振る彼女。
「じゃあここは?」
また首を振る。
分かってる。逃げないということはこんなものが建前だということを。女の行動以外は全てノイズである。行動のみでこちらの次のアクションプランを考えるべきである。
強引にじゃあここで、と適当な部屋のボタンを押してエレベーターに乗り、部屋に入る。照明を暗くする。
『なんか怖い』
と言って彼女は椅子に座り犬みたいに縮こまっている。
「何が怖いの?」
俺はベッドに腰掛けながら聞く。
『知らない人と二人きりっていう空間が怖いじゃん』
「怖かったらダッシュして帰っていいよ」
『うーん......』
行動以外は全てノイズ。
「帰らないってことは少しでもいいって思ってくれてるってことだよね?」
『でも君のことほとんど知らないじゃん』
「教えるから、そんなところにいても余計に距離縮まらないからこっちおいで」
で渋々俺の横に座る。
俺はひたすら個人情報を開示した。どこの会社で働いているか。家族構成。元カノの話。しまいには、鞄の中身も疑われて全て見せることになった。
一通りの情報を知った彼女からは安心したオーラが感じ取れた。
今だ!今しかない!
彼女を抱き寄せてキスしようとする。
拒否。
『キスはしないよ』
「じゃあハグしながら寝よ」
『うん......』
ハグしながら横になり、軽く頭を撫でる。拒否なし。軽く耳を触る。拒否なし。耳を愛撫する。拒否なし。耳を舐める。......拒否なし。
そこからは二人で溶け合った。
でも何故か、キスだけは積極的にしてくれなかった。
事後
『やばい、終電ないよ笑』
俺は終電があったので、うちに来るかと尋ねると迷っているそぶりを見せたので、きな、と伝えて急いで支度をさせ、歌舞伎町を走り抜けてなんとか10分後の終電に駆け込んだ。
『よく知らない女を家にあげられるね笑』
「新宿に女の子一人置いて帰る方が怖いから笑」
なんか、この子は放って置けなかった。
人身事故で電車が40分ほど遅れて到着するというアクシデントがありながらも、なんとか俺の最寄りに到着。ドンキに寄ってから二人して家に着く。午前2時。
着替えとか色々用意してあげていると、
『なんか、さとえ君って優しいよね』
なんて言われて嬉しかった。
二人して歌舞伎町走っているときに手引いたり、セックス中の細かな気遣いなど感じ取ってくれたのだろう。俺も誰にでもやるわけでもないが、この子に対してはいいと思ってもらいたい一心で気を遣っていた。自然と。
ベッドの中でお互いの恋愛遍歴や好きな/嫌いな食べ物、好きな曲などについての話をしていると、なんか愛しく感じてきたのでキス。
受け入れられる。
そのまま重なる。
最中
『私キスの仕方あんまわかんないから......』
「どういうこと?笑」
『私からいっぱいしていいの......?』
めちゃくちゃに興奮した。
また、正○位で突いている時に
『ねぇ、チューして?』
さっきまでのあの拒否はこのための伏線だったのか?と思うほどに求められて本当にやばかった。
事後。午前4時30分。あーあと3時間くらいしか寝られないね、なんて言いながら。
さっきの答え合わせをする。
「なんでさっきはホテルで嫌がってたの?」
『えー、なんか軽い女って思われたくなかった。でもガード硬すぎたよね、ごめんね笑』
可愛すぎて全てを許す。
多分、お互いがお互いを好きになってしまった。
午前7時30分。
また会おうね、と言って駅まで見送って解散。
LINEは現在でも続いており、また会うこととなっている。
でも、果たしてどうなのだろう。やはり、出会いがあると必然的に別れを想像してしまう。俺の悪い癖かもしれない。なんとなく、いつか近いうちに別れるだろうことを予感している。何故かはわからないけど。