さとえブログ

ノンフィクション/エモい/現代っ子哲学

夏について

さとえ(@satoe_chan_)です。

 

夏が始まろうとすると、いつも高3の夏を思い出す。

 

浅草での校外学習。突き刺す日光。汗。突如降り出す雨。

 

俺たちの班は事前に念入りに計画を立てた。バスで浅草まで連れられ、降ろされる。浅草寺の横道でサクサクのメロンパンを食べた。大黒屋で名物の天丼を食べた。班のうちの一人、金持ちが1500円の天丼を目の前に「安っ!」。チェックポイントであるスカイツリーを無視して離れた場所を観光。雨。時間が無いことを思い出し、ダッシュ。浅草界隈ダッシュはこの後語り継がれる伝説となった。スカイツリー第一展望台に間に合う。花やしきでリアル脱出ゲーム。意外に難しく、立入禁止エリアに踏み込むという裏技ショートカットをし、なんとか間に合う。集合場所のなんたら会館に行く。再度バスで連れ去られ、高校で各々解散。

無論、その時のメンバーとは卒業以来1回も会ってすらいない。

 

 

 

また、印象的な夏として大学2年の夏がある。当時付き合っていた彼女と品川でよく映画を観ていた。

 

彼女「この後どうする?」

 

俺「俺たちの関係について言及してる?」

 

彼女「いや、予定のことだけど......」

 

俺「分かりにくっ。ところで、さっきの映画だけど広瀬すず高木ブーの腹をぶん殴って無理矢理ダイエットさせたところまでは良かったけど、鈴木福三浦春馬が喧嘩したところら辺から冗長になっておもんなかったよなあ」

 

彼女「本当に私と同じ映画観てた?笑」

 

俺「どう考えてもさっきの映画について言及してますが」

 

彼女「私は寺田心とブラッドピッドと泉ピン子が修羅場な映画観てたんだけど...」

 

俺「バレた。実はずっとNetflix観てたわ。途中トイレ行きまくってただろ」

 

彼女「脱水症状で体調悪くなるでしょ」

 

俺「まあ夏だからな。ところで、俺らの関係はいつまで続くんだろうか?」

 

彼女「私からは終わらせるつもりはないから、あんた次第かもね」

 

しばしの沈黙。実は数週間前から不穏なムードが漂っていた。両方とも、その雰囲気を何となく察知してはいた。

 

俺「じゃあ今すぐこの関係を終わらせたい」

 

彼女「本当に言ってる?」

 

俺「うん。彼女じゃなく嫁になってくれ」

 

彼女「......そういうのムリなんだけど」

 

俺「冗談に決まってるだろ。ところで、春夏秋冬の中で夏が1番ナンパが引っかかりやすい時期って知ってた?」

 

彼女「それ元彼も言ってた」

 

俺「俺の前で元彼の話出すなよ...マジ萎えるわ」

 

彼女「ごめんて」

 

俺「いいよ」

 

唇と唇を重ねる。

手を繋ぎ、指を絡め合う。

彼女の顔を見るのは恥ずかしいので、横を見る。

 

俺「あっ今通った子めっちゃ可愛かった」

 

平手打ちを食らう。

 

彼女「今日はもう帰るね」

 

俺「それは丁度いい。俺も腹減ってたからな」

 

彼女「バイバイ」

 

俺「また一年後な」

 

彼女「今日は七夕じゃないよ」

 

俺「まあ夏だからな」

 

 

二週間後、彼女からLINEが来た。

 

「もう色々と着いていけないから、別れよう」

 

俺はこれがエモいってやつか......と思いながらしばしば承諾した。